管理人の母国語の生徒たちとその保護者向けに、授業でどんな教材を使っているかを紹介します。
【1. 絵本・書籍のかしだし】
*Danderyd市、Sollentuna市、Täby市管轄の母国語教育では、母国語の時間に教員個人の本をかしだしています。かしだし用の本には、背表紙に黄色のシールが貼ってあります。お子さんが本をかりてきたら、何度でも、たくさんの本を読んであげてください。読み終わったら授業のときに持たせてください(返却)。読書は言語力、思考力の訓練にもってこいの教材。授業では一人数冊、お子さんに合わせたおすすめを持っていってどうしておすすめなのか、どんなところがおもしろいのか話して1,2冊を選ばせるようにしています。残念ながら全然持って帰ってくれないお子さんもいますが、動機づけができていないまま持たせても読んでくれないので、無理強いはしません。おうちで保護者が「本、借りられるんだって?かりてきてよ」とお子さんに話してみてください。絵本だけでなく児童書も、ぜひ読み聞かせしてあげてください。
*書籍リストの使い方: 少学校低学年の生徒には、『おしりたんてい』と『かいけつゾロリ』シリーズの書籍リストを使って、今までに何を読んだか管理しています(リストは教員が持参しています)。授業のときに読んだ本にスタンプを押して、ほぼ読破できていたら学期末に家庭に持ち帰るようにしたところ、子どもたちにはスタンプラリーのノリで楽しんでもらえたようなので、2024年秋学期からは他のシリーズ物も一覧表を冊子にして、よりたくさんの本に親しんでもらえたらと思います。
Q: どんな本がありますか?
A: 主に1) マンガ(約150冊) 2)図鑑&子ども用雑誌 3) 絵本(約200冊) 4) 児童書(約100冊) 5) 小説各種(単行本など10冊) で、 授業案内のメールを送る時に本のリストを送っています。
【2. デジタル問題集】JAPANINJA(じゃぱにんにゃ)
管理人手作りのデジタル学習教材、JAPANINJA(じゃぱにんにゃ)。
スウェーデン語・日本語バイリンガルの子ども用の語彙力強化を目的にした無料デジタルゲームです。一つずつの問題数が少ないので子どもの集中力でも持続でき、Wifiにつないだ携帯かタブレットがあれば一人でも勉強できるようにしています。ただ、長期的な利用のためにはどのタイミングでどんな種類の語彙を増やすかを示し、自分の努力の道のりを確認して成功体験を積み上げることが重要。そのため母国語授業では、そのこどものレベルにあわせたじゃぱにんにゃすごろくを配布して宿題でも授業でも一貫した流れで学習できるようにしています。子どもによっては自分で選んだほうがモチベーションが高まる子もいますので、それでやるならそれで良し、がんばがんば♪で対応しています。
【3. 日本の教育委員会によるデジタル教材の利用】
コロナ禍の中で、日本の各都道府県の教育委員会はさまざまな日本語教材をウェブサイト上で一般公開しました。母国語授業でもその中から授業計画と進行度合いに合うものを取り上げて使わせていただいています。各教育委員会によってどんな分野に重きを置いているかが異なるようで、教材の内容も語彙重視、読解教材が充実しているところなどさまざまです。いくつかの例を紹介します。
東京都教育委員会 東京ベーシックドリル
*小学1年から中学1年までの国語、算数(数学)、理科、社会(ちょっとだけ英語も)の練習問題があります。国語の教材は言葉の勉強や語彙の強化が必要なお子さんにとても良いと思います。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/study_material/improvement/tokyo_basic_drill
山口県教育委員会 やまぐち学習支援プログラム
*小1から中3まで、国語、算数(数学)、理科、社会、英語の問題があり、ステップ1からステップ4までレベル分けされているので個々のレベルに応じて勉強できること、解答も見やすく、動画教材まであるという、教育的側面から見てハイレベルな構成になっていると思います。使えば使うほど、山口県に行きたくなります。
https://gimukyo.ysn21.jp/gakushi
【4. カード教材】
授業では、ひらがな、カタカナ、漢字、慣用句の学習などでもなるべく物理的に手を使い、声を出し、体を動かして学べるように工夫しています。理由は簡単、そのほうが身につきやすいからです。漢字の学習は全学年で大きなハードルの一つです。右側の漢字カードで漢字とひらがな(単語)を覚え、左側の漢字パズルで漢字→ひらがな→スウェーデン語→漢字の連鎖を訓練します。時間もかかるし大変だし1週間30から40分の授業で身につけられることには限界もありますが、この学習によりスウェーデン語の語彙力も伸ばすことも目的の一つとしています。
【5. テーマ学習教材】
私の母国語の授業では、授業の半分を個人学習、もう半分をテーマ学習の時間にして授業計画を練っています。テーマ学習ではいろいろな教材を冊子にまとめて、授業で配布しています。冊子には説明文、課題、練習問題など集めていますので、テーマ学習の間は、テーマ学習用の冊子は毎回持って来てください。
*テーマ学習については別の記事で説明したいと思っています。間に合うか。。。
【6. スウェーデン学校庁Skolverket の母国語サポートページ】
*いろいろなサポートがありますが、授業で最も使っているのは2つめのPedagog Värmlandのページ。各教科の重要単語が多言語で一覧、検索できる、さすがスウェーデン!なサイトです(ただし日本語の翻訳はありません((泣)まあいつものことですが。。。)
https://pedagogvarmland.se/skolord